・専門性を狭くし、スムーズに能力発揮をさせる代わりに、成長を鈍化させる施策
・優秀人材を自部門に配置させるための説得手法
・材の分析も、所の分析もしないまま、号令と施策だけが進んでしまう不思議な言葉
「人材ニーズがとある部門で発生する。そのニーズに応えられる確率が、自社の中で最も高い人材を、その部門に配置する。そうやって、適材を適所に配置すれば会社の生産性が高まっていく。生産性を向上させることは、まさに経営にとって非常に大事なポイントだ。」これが適材適所、あるいは、適所適材、という言葉で進められる施策の目的である。とある人材ニーズが生じた時に、そのニーズにマッチしない人材を配置して、業務の生産性が大きく下がってしまったり、その人材に必要以上に苦労させたりすることを考えると、非常に大事な考え方になる。最近は、適材の材、すなわち人材データベースを作成し、いつでも人材ニーズにマッチした人材を見つけ出せるようにするための取り組みも頻繁に進められるようになった。AIを駆使して、自動的に候補人材のリコメンドが出る製品など、技術革新は目覚ましいものがある。
しかし、果たして、適材適所の実現率が仮に100%のような状態になったらどうだろう。そこまでは極端としても、仮に60%ぐらいなら?実は、真の適材適所は、全社員にできることだけをやらせるというマネジメントになってしまうことを意味するのである。当然、それは、組織や人材の成長を考えると、必ずしもベストな対応ではない。あえて苦手なことをやらせてみる、少しストレッチが求められる役割を担わせるといったことを、逆に意図的に作り出すことが求められるようになる。これからの時代、ベストマッチングはAIがやってくれるなら、人間側は「動的な成長を促すには?」を命題に人事の仕事をしていくことが求められえるようになっていくのかもしれない。